問題演習 問題演習B 整数・整式

【難度B】演習6〜大阪大学・2016年〜

2020年8月31日

解答解説

問題

(1) aを正の実数とし,k1以上の実数とする.xについての2次方程式x2kax+ak=0は不等式1a<s1をみたすような実数解sをもつことを示せ.

(2) a3以上の整数とする.n2+aan+1で割り切れるような2以上の全ての整数naを用いて表せ.

(1)はただの解の存在範囲に関する問題.

因数分解も出来なさそうですから,解答のように端点の符号から中間値の定理を使うのは定石ですね.

中間値の定理を使うときには連続性への言及を忘れずに.

 

(2)からが整数問題で,考えることと言えばいつものこちら.

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  1. 約数・倍数関係に注目する
  2. 大小関係に注目する
  3. 余りに注目する

この3つのどれを用いて「整数の範囲を絞り込むか」が整数問題攻略の鍵となります.

 

実はこの問題,前回の阪大の整数問題とかなり考え方が近い問題です.

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「割り切れる」というところは一見すると約数倍数関係や剰余系(今回は割る数がan+1なので少しずれています)を使いたくなりますね.

しかし,実際に割ってみると,商も余りも整数かどうか怪しくなってしまいます.

 

ここでよく問題構成を見直す必要があります.

(1)(2)の順で出題されているなら,前の問いは次の問題の誘導になっていることがほとんどです.

(1)は(2)を解くために大学側が与えてくれるヒントなわけです.

『(1)をどのように使えばいいのだろう?』

『示したものが「不等式」なので,大小関係から絞り込みではないか』

と,正しい方針に至るわけです.

 

まず商を文字でおかなくては話は始まりませんから,これをkとおくとそのまま(1)の式が出てきますね.

ただし,nは(1)の範囲外にある解なので,もう一方の解をsについて考えなくてはいけません.ここは少し難しいですね.

sが整数であることを示してしまえば,不等式で絞り込めているので後は簡単です.

 

a3以上」という条件,少し引っかかりませんでしたか?これはn2以上という条件を反映しています.

a2ならn=a1=1となって,(1)の範囲内になってしまいますからね.

解答

(1)

f(x)=x2kax+akとすると,a>1k1より,

f(1a)=1a2+a>0f(1)=(1k)(a+1)<0

である.1a<x1においてf(x)は連続なので,この区間内に実数解をもつ.

(2)

n2+aan+1で割り切れるとき,その商をkとおくと,kは自然数であり,

n2+a=k(an+1)n2kan+ak=0

が成立する.上式はf(n)=0とかけることから,f(x)=0x=nを解にもつ.

また,a>0,k1,n2より,(1)からf(x)=01a<s1をみたすもう一つの解をもち,解と係数の関係から

n+s=ka

が成立する.s=kanは整数であるのでa3よりs=0,12通りのみ考えられる.

i) s=0のとき

f(0)=0より,k=a,n=a2が得られる.これはa3においてn2をみたす.

ii) s=1のとき

f(1)=0より,(1k)(a+1)=0なのでk=1であり,n=a1が得られる.これはa3においてn2をみたす.

以上よりn=a2,a1

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