問題演習 問題演習B 論証 関数と方程式・不等式

【難度A】演習11〜東京都立大学・1987年〜

2020年9月12日

解答解説

問題

Rを実数全体の集合とする.Rの元を係数とするx2次以下および1次以下の多項式全体の集合をそれぞれVおよびWとおく.また,Vの元fにWの元fを対応させる写像が次の3条件(i),(ii),(iii)をみたしていると仮定する.(以下,(f)fとかく.)

(i) Rに属する任意のa,b,cについて,(ax2+bx+c)=a(x2)+bxが成り立つ.

(ii) Vに属する任意のfに対して(f)22ffRに属する.

(iii) Wに属する任意のgに対してVに属するfが存在してf=gをみたす.

(1) xRに属することを示せ.

(2) x=kとおいて,(x2)kを用いて表せ.

はじめにも書きましたが,とっつきづらい(ような気がする)だけで実際のところはシンプルです.

 

(1)からです.という演算はVの元からWの元への対応ということでした.

つまりxは一次以下の多項式なのですね.ここが読めれば,一次の係数と定数項をおくことができたでしょう.

あとはルールである(i)-(iii)に代入する他やることがありません.(ii)においてxが必要みたいなので,(i)を用いて計算してみましょう.

スムーズに証明できたのではないでしょうか.

 

(2)もほとんど変わりません.(x2)もやはり一次以下の多項式ですから,(1)と同様に(i)と(ii)から条件式が得られます.

最後,p=0が不適であるところで(iii)の条件を使います.(ちなみに(iii)を全射(上への関数)と言います.)

xx2も写像によって定数になってしまうと,一次式が表せません.ここが全射に矛盾します.

(iii)をこれまでに使っていないため,「どこかで出てきそうだな」,つまり与えられた条件を使い切る意識を持つことが大事ですね.

 

 

こう言った抽象的な問題は見た目で避けられがちですが,ゆっくり噛み砕いていくとほぐれてくるものも多く,たくさん演習を積む中でその感覚を掴むことが大事と言えます.

見慣れない設定ですし,実際入試で出たら面食らうでしょう.

しかし,手数の少ない(あれこれ考えることの少ない)問題ですから,難関大でしっかり数学を得点することを目指すのならばできておきたい一題です.

解答

(1)

x=lx+kとおくと,(i)より

x=lx=l(lx+k)

よって,(ii)により

(x)22xx=(lx+k)22l(lx+k)x=l2x2+k2R

ゆえにl=0であるから,x=kR

(2)

(x2)=px+qとおくと,(i)より

(x2)=px=pk

よって,(ii)により

{(x2)}22(x2)x2=(px+q)22pkx2=p(p2k)x2+2pqx+q2R

これよりp(p2k)=0pq=0が成立する.ここでp=0とすると(x2)=qであるから,Vの任意の元ax2+bx+cに対し,(i)より

(ax2+bx+c)=a(x2)+bx=aq+bkR

であるから,1次式のWの元gに対しf=gとなるVの元fが存在しないことになり(iii)に反する.

ゆえに(p,q)=(2k,0)であるから,(x2)=2kx

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