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【難度B】演習14(理)〜愛知県立大学〜

2020年9月25日

解答解説

問題

図の正方形ABCD, AEFGにおいて,$\mathrm{AB}=2\mathrm{AE}$とする。線分BG, ED上に正方形BGHK, DMLEを図のように作れば,H, F, Lは一直線上にある。これを証明せよ。

3点以上が同一直線上にあるのは特別な状況.なぜなら,直線は異なる2点で決定するからです

では,「ABCが同一直線上」をどのように示せば良いのでしょうか.大まかに以下の2通りと考えてもらえればいいと思います.

  1. 「直線の一致」と考える
    直線AB=直線AC:ABとACが平行
    直線AB上にCが存在する,など
  2. 幾何から考える
    メネラウスの定理,角ABCが180度,など

基本は,赤で示した通り①のABとACが平行と考えてもらえればいいでしょう.これが一番扱いやすいです.

(明らかな幾何の問題で誘導がついていると,②で考えることもあり得ます)

 

さて,今回の問題は正方形がたくさん出てきます.

一見すると幾何かな?という気がするのですが,$\mathrm{AB}=2\mathrm{AE}$の条件を使うことを考えると,なかなか幾何では扱いづらかったと思います.

というわけで平行条件を考えるのですが,座標を置くには自由度が高すぎるのが問題になります.

そこで,複素数平面の利用を思いつけたかどうか.

「正$n$角形」「回転」が絡んだときは複素数平面が非常に有利です.

特に正三角形は東大京大を中心に多くの大学で出題されています.

Aで接しているのでここを原点にとり,まずはDとEの複素数をおきましょう.

この2つと「90度回転」の条件を用いて全ての点を表すことができますから,平行条件の立式をすれば完了です.

複素数平面においては平行条件を「実数倍」と捉えるのではなく,以下のように共役複素数を用いて表現すると楽に(他に文字を置くことなく式だけで)扱えます.($k$を実数とします)

\begin{align*}
&ABとACが平行\\
\Leftrightarrow\,&\beta-\alpha=k(\gamma-\alpha)\\
\Leftrightarrow\,&\frac{\beta-\alpha}{\gamma-\alpha}=k(実数)\\
\Leftrightarrow\,&\frac{\beta-\alpha}{\gamma-\alpha}=\overline{\frac{\beta-\alpha}{\gamma-\alpha}}
\end{align*}

解答

点Aを原点とする複素数平面で考える。Eを表す複素数を$z_1$,Dを表す複素数を$2z_2$とし,$|z_1|=|z_2|$とする。

$\vec{\mathrm{AB}}$は$\vec{\mathrm{AD}}$を$-90^\circ$,$\vec{\mathrm{AG}}$は$\vec{\mathrm{AE}}$を$90^\circ$回転させたものなので,

\[\mathrm{B}(-2iz_2),\,\mathrm{G}(iz_1)\]

である。ここで,

\begin{align*}
&\vec{\mathrm{EL}}\perp\vec{\mathrm{ED}}\\
&\Leftrightarrow l-z_1=(2z_2-z_1)i\\
&\Leftrightarrow l=(1-i)z_1+2iz_2\\
&\vec{\mathrm{GH}}\perp\vec{\mathrm{GB}}\\
&\Leftrightarrow h-iz_1=(-iz_1-2-z_2)(-i)\\
&\Leftrightarrow h=-(1-i)z_1-2z_2\\
&\vec{\mathrm{EF}}\perp\vec{\mathrm{EA}}\\
&\Leftrightarrow f-z_1=(-z_1)(-i)\\
&\Leftrightarrow f=(1+i)z_1
\end{align*}

が成立しているので,

\[l-f=2i(z_2-z_1)\]\[h-f=-2(z_1+z_2)\]

よって,

\begin{align*}
\frac{l-f}{h-f}&=\frac{2i(z_2-z_1)}{-2(z_1+z_2)}\\
&=\frac{z_1-z_2}{z_1+z_2}i
\end{align*}

また,

\begin{align*}
\overline{\left(\frac{l-f}{h-f}\right)}&=\frac{\overline{z_1}-\overline{z_2}}{\overline{z_1}+\overline{z_2}}(-i)\cdots①
\end{align*}

ここで,$|z_1|=|z_2|\Leftrightarrow z_1\overline{z_1}=z_2\overline{z_2}$であり,この値を$r$とおくと,

\begin{align*}
①&= \frac{\frac{r}{z_1}-\frac{r}{z_2}}{\frac{r}{z_1}+\frac{r}{z_2}}(-i)\\
&=\frac{z_2-z_1}{z_2+z_1}(-i)\\
&=\frac{z_1-z_2}{z_1+z_2}i
\end{align*}

となる。よって,

\[\frac{l-f}{h-f}=\overline{\left(\frac{l-f}{h-f}\right)}\]

から,$\dfrac{l-f}{h-f}$は実数であり,H, F, Lは一直線上にある。

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