整数・整式

「互いに素」の性質と使い方まとめ

2020年5月20日

short summary!

「互いに素」の2つの定義
・最大公約数が1
・共通素因数をもたない

に沿って利用・証明を覚える


それでは見ていきましょう!

はじめに

「互いに素」という条件は有理数や最大公約数などの問題で登場します.

素数とともに強い条件ですので,「互いに素の利用」と「互いに素の証明」の両方を得意にしていきましょう.

「互いに素」の定義

まずは以下の2つを頭に叩き込みましょう.互いに素数,では決してないので気をつけてください.

①「肯定」最大公約数が1である
②「否定」共通素因数を持たない

初めて習うときは「肯定」のことが多いのではないでしょうか.ですが公約数は素因数によって決定されるものです.

本質的には「否定」の方が理解すべきところでしょう.

素因数が出てくるので,やはり互いに素は強力な条件なのですね.この2つの定義を軸に,以下の内容を理解していきましょう.

以下ではa,bは互いに素な2整数とします.

「互いに素」の利用

①「肯定」での利用

a,bについて整理する
a=A,b=Bの形にする

②「否定」での利用

→両辺をa,bでくくり出す
ap=qbの形にする

まずは①からです.

例えば,

a=(x+2y)g
b=(3x+5y)g

という式を見てください.ga,bにとってどういう数でしょうか.

右辺が因数分解されているわけですからgは約数ですね.

2数の公約数は.最大公約数の約数です.互いに素な2数の最大公約数は1ですから,g=1と決まるのですね.

少し応用ですが.

2a=(x+2y)g
3b=(3x+5y)g

という式ならどうでしょう.g2a,3bの公約数ですね.

a,bには共通する素因数がないので,gが持ちうる素因数は2,3を一つずつです.

つまり,「gは6の約数」ということがわかります.

一般化すると「Xa,Ybの公約数はX,Yの最小公倍数の約数」と言えるのですが,少し難しいので問題演習でまたお話しします.

 

②も非常に大事な使い方です.

ap=qb

この式から

baの素因数を持たない→aの素因数をqが全て担う
abの素因数を持たない→bの素因数をpが全て担う

である,つまり

qaの倍数→aqの約数
pbの倍数→bpの約数

が成立しています.q=ak,p=bkと書けるのですね.

高次方程式を解く際,因数定理を利用しますが,解を予想する際に最高次と定数項に注目しますね.

この根拠(click!)が上で述べたことに関係しています.

「互いに素」利用と証明の演習

short summary! 互いに素は否定と肯定の定義を軸に考えよう! →「互いに素」の解説 はじめに 今回は「互いに素」がテーマとなる問題の演習を積んでいきましょう. 別の記事(下にリンクあり)で ...

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「互いに素」の証明

①「肯定」での証明

a,bの最大公約数をおいて,それが1であることを示す

②「否定」での証明

a,bの共通素因数をおいて,矛盾することを示す

互いに素であることの証明は,基本的に定義そのものです.

強調したいのは②の方です.「共通素因数を持たない」ことを示すには,背理法で二重否定の形にして扱うべきでしょう.

素数を置くことで,強力な性質(素数の性質click!を使うことができます.①よりも②の方が有用です.

「互いに素」利用と証明の演習

short summary! 互いに素は否定と肯定の定義を軸に考えよう! →「互いに素」の解説 はじめに 今回は「互いに素」がテーマとなる問題の演習を積んでいきましょう. 別の記事(下にリンクあり)で ...

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まとめ

「互いに素」は2つの定義に沿って利用と証明を覚える.

  1. 「肯定」最大公約数が1である
    利用:a,bについて整理(a=A,b=Bの形)
    証明:最大公約数をおいて,それが1であることを示す
  2. 「否定」共通素因数を持たない
    利用:両辺をa,bでくくり出す(ap=qbの形)
    証明:共通素因数をおいて,矛盾することを示す

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