short summary!
「互いに素」の2つの定義
・最大公約数が$1$
・共通素因数をもたない
に沿って利用・証明を覚える
それでは見ていきましょう!
はじめに
「互いに素」という条件は有理数や最大公約数などの問題で登場します.
素数とともに強い条件ですので,「互いに素の利用」と「互いに素の証明」の両方を得意にしていきましょう.
もくじ
「互いに素」の定義
まずは以下の2つを頭に叩き込みましょう.互いに素数,では決してないので気をつけてください.
①「肯定」最大公約数が$1$である
②「否定」共通素因数を持たない
初めて習うときは「肯定」のことが多いのではないでしょうか.ですが公約数は素因数によって決定されるものです.
本質的には「否定」の方が理解すべきところでしょう.
素因数が出てくるので,やはり互いに素は強力な条件なのですね.この2つの定義を軸に,以下の内容を理解していきましょう.
以下では$a,\,b$は互いに素な2整数とします.
「互いに素」の利用
①「肯定」での利用
→$a,\,b$について整理する
:$a=A,\,b=B$の形にする
②「否定」での利用
→両辺を$a,\,b$でくくり出す
:$a\cdot p=q\cdot b$の形にする
まずは①からです.
例えば,
$a=(x+2y)g$
$b=(3x+5y)g$
という式を見てください.$g$は$a,\,b$にとってどういう数でしょうか.
右辺が因数分解されているわけですから$g$は約数ですね.
2数の公約数は.最大公約数の約数です.互いに素な2数の最大公約数は1ですから,$g=1$と決まるのですね.
少し応用ですが.
$2a=(x+2y)g$
$3b=(3x+5y)g$
という式ならどうでしょう.$g$は$2a,\,3b$の公約数ですね.
$a,\,b$には共通する素因数がないので,$g$が持ちうる素因数は$2,\,3$を一つずつです.
つまり,「$g$は6の約数」ということがわかります.
一般化すると「$Xa,\,Yb$の公約数は$X,\,Y$の最小公倍数の約数」と言えるのですが,少し難しいので問題演習でまたお話しします.
②も非常に大事な使い方です.
$a\cdot p=q\cdot b$
この式から
$b$は$a$の素因数を持たない→$a$の素因数を$q$が全て担う
$a$は$b$の素因数を持たない→$b$の素因数を$p$が全て担う
である,つまり
$q$は$a$の倍数→$a$は$q$の約数
$p$は$b$の倍数→$b$は$p$の約数
が成立しています.$q=ak,\,p=bk$と書けるのですね.
高次方程式を解く際,因数定理を利用しますが,解を予想する際に最高次と定数項に注目しますね.
この根拠(click!)が上で述べたことに関係しています.
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「互いに素」利用と証明の演習
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「互いに素」の証明
①「肯定」での証明
→$a,\,b$の最大公約数をおいて,それが$1$であることを示す
②「否定」での証明
→$a,\,b$の共通素因数をおいて,矛盾することを示す
互いに素であることの証明は,基本的に定義そのものです.
強調したいのは②の方です.「共通素因数を持たない」ことを示すには,背理法で二重否定の形にして扱うべきでしょう.
素数を置くことで,強力な性質(素数の性質click!)を使うことができます.①よりも②の方が有用です.
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まとめ
「互いに素」は2つの定義に沿って利用と証明を覚える.
- 「肯定」最大公約数が$1$である
利用:$a,\,b$について整理($a=A,\,b=B$の形)
証明:最大公約数をおいて,それが$1$であることを示す - 「否定」共通素因数を持たない
利用:両辺を$a,\,b$でくくり出す($a\cdot p=q\cdot b$の形)
証明:共通素因数をおいて,矛盾することを示す