問題演習 問題演習A 整数・整式

【難度A】演習7〜九州大学・1982年〜

2020年9月2日

解答解説

問題

整数を係数とするn(>1)次の整式

f(x)=xn+a1xn1++an1x+an

について,次の(1),(2)を証明せよ。

(1) 有理数αが方程式f(x)=0の1つの解ならば,αは整数である。

(2) ある自然数k(>1)に対して,

k個の整数f(1),f(2),,f(k)のどれもがkで割り切れなければ,

方程式f(x)=0は有理数の解をもたない。

初見ではかなり厳しい問題と言えるでしょう.(1)(2)ともにある程度の知識が必要です.

それでも,(1)の知識は一定のレベルの大学を受けるならば必ず解けるべき問題です.

 

まず,有理数は=qpp,q互いに素な整数p1)」とおいて代入が基本.

(無理数と関連があり,有理数が加減乗除について閉じていることを用いる場合はこの限りではありませんが,ほとんどの場合は↑で対処します.)

有理数をおいたら,「互いに素」を利用します.ここまで一本道で来れるようにしてください.

p,qが互いに素の時

  1. 「肯定」最大公約数が1である
    利用:p,qについて整理(p=P,q=Qの形)
    証明:最大公約数をおいて,それが1であることを示す
  2. 「否定」共通素因数を持たない
    利用:両辺をp,qでくくり出す(pA=Bqの形)
    証明:共通素因数をおいて,矛盾することを示す

でした.有理数解を代入した場合は,p,qを繋ぐ等式が得られますから,②の方を用います.

両辺からp,qをくくりだすために,最高次係数と定数項(つまり両端)に注目する必要があります.

以下に詳しく説明しているのでぜひみてみてください.

定義から紐解く有理数と無理数

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(2)です.

有理数解を持たないことを直接示すためには,実際に解いて確認するのが一番ですが,こんな方程式が綺麗に解けるわけがないので頓挫します.

「否定の証明」ですから,背理法を使うのが良いでしょう.

有理数解を持つとすると,(1)からこれが整数だとわかります.(1)が使えるのでこの方針で間違いなさそうです.

 

さてここで整理すると

1.整数解αを持つ

2.f(1),f(2),,f(k)のどれもがkで割り切れない

大まかにこの2つの条件から「矛盾」を示す,ということになります.

割り切れるかどうかという話なので,剰余系を考えますね.

整数の基本3:剰余系(合同式)

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こちらのまとめにも書いている通りですが,剰余系では

  • 整数係数の整式f(x)について,余りの代入計算が可能
    αrf(α)f(r)合同式を用いた絞り込みは.「一部の条件を除外する」

ことを知っておくのでした.

整数係数の整式と剰余系は相性が良いのです.さらに「一部の条件を除外する」というところは背理法と相性が良い.

具体的にはαkで割った余りをrおくと,f(α)kで割った余りはf(r)と等しいが,f(α)=0と矛盾するという流れです.

整数に関する深い理解が必要な名問ですね.

解答

(1)

α=qp (p,qは互いに素な整数,p1)と表せるので,代入して

より,qn=p×()

が得られるが,p,qは互いに素であることより,pqnも互いに素なので,p1のみに限られる。

よってα=q (Z)が成立する。

(2)

方程式f(x)=0は有理数の解αを持つとすると,(1)よりαは整数であり, f(α)=0が成立。

合同式の法kとして,αr (r=1,2,,k)とおくと,

より,f(α)f(r)が得られるが,f(α)=0より,f(r)0

f(r)k個の整数f(1),f(2),,f(k)のいずれかであるため,kで割り切れる数が存在することになり,与条件に矛盾。

よって背理法により,方程式f(x)=0は有理数の解αを持たない。

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