short summary!
まずは漸化式の意味と構造を理解する.
「差の形」「比の形」の漸化式は「繰り返し用いる」ことで一般項を求めることができる.
はじめに
「漸化式の解き方」を解説している教科書やサイトはたくさんあります.
しかし,どれも煩雑で場合わけも多く,とても覚えられないと感じる人もいるのではないでしょうか.
ここではっきり言っておきたいのですが,10通りも20通りも型を覚える必要はありません.
無駄な場合わけはせず,できるだけ簡潔にまとめました.
本サイトでは以下のロードマップに従って解説していきます.
「解くことの可能な」漸化式に関してはこれで必ず解けます.
「○次」:一般項(
「○項間」:一般項(
で分けていきましょう.例を挙げながら説明しますのでわかってもらえると思います.
今回は1回目,漸化式の意味から基本二型について解説します.
もくじ
漸化式とは
まず,漸化式とはどういうものかを話しておこうと思います.
数列は文字通り「数の列」ですね.初めの数(初項)から数えて
一般項を
ここで,一般項同士の関係式を考えます.
例えば,公差が
これを一般項を用いて表すと,
このように,それまでの項を用いて次の項が順々に出てくる構造を漸化式と呼んでいます.
(「漸く」は「ようやく」と読みます.「だんだん」「徐々に」という意味があるのです.枕草子で「やうやう白くなりゆくやまぎは」という文がありますが「やうやう」も「漸う」と表記します.「だんだん白くなっていく山際」ですね.)
漸化式は数列の項を生産する工場で,初項を入れると次の項が出荷され,それを工場に戻して入力するとまた次の項が作られて…というイメージを持っておきましょう.
漸化式を解くということ
漸化式は一般項の関係式です.
例えば
という漸化式があり,初項が
ですが
では,漸化式から
本記事では「基本二型」の漸化式から「一次の二項間型」の順に解説をします.
基本二型:「差の形」「比の形」
では,上のロードマップにおいて赤で示した「差の形」と「比の形」について解説をしていきます.
数列の基本二型と言われれば,ピンとくるのではないでしょうか.
そうです,等差数列と等比数列です.
初項
初項
について,試しに漸化式を立ててみてください.前の項に何をしたらいいのか…を考えると明白ですよね.
初項
→
初項
→
となります.ここでもう一度言及しておきますが,漸化式はあくまでも次の番号を生成する機構ですから,初項の情報は別で必要です.
逆にいうと,
という形なら,それぞれ等差数列,等比数列として一般項を求めることができるということ.
ですが,別に「等しい」差や「等しい」比でなくても,漸化式から一般項を求めることは可能なのです.
例えば,
↓
↓
↓
↓
「差」が与えられている漸化式はこのように一般項を求めることができるのです.
比の場合も同様に考えてもらえれば,以下のようにまとめることができます.
・「差の形」:
→漸化式を繰り返し代入:△を足していく
Σで表すと
・「比の形」:
→漸化式を繰り返し代入:○をかけていく
なお,上で挙げた例は
これについてはまた別の記事で扱いますのでぜひ参照してください.階差数列から一般項を求める公式も(上で書いてあることとほとんど同じですが)紹介します.
さて,ここで一つ注意して見てほしいのは添字の範囲です.
添字の範囲に迷ってしまったら,「スタートがどこなのか」に注目すると間違えることが減るかも知れません.
よく市販の問題集の解答を見ると,一般項を求めた後に「これは
これは
ここまで読んできてもらえれば気づいているかも知れませんが,あくまで漸化式は次の項を生成する機構なわけですから
解いた漸化式が初項もきちんと表せているかどうかは当然分からないんですね.
そういう意味では,漸化式を解いた後に「
しかし,この作業を省くことができるものがあります.それが「等差数列」と「等比数列」です.
この二つは「初項」と「公差または公比」で(初項も含めて)一般項を表しきることができるからです.
では,以下の例題を考えてみましょう.
例題
(1)
(2)
(3)
(4)
(1)と(2)はいいでしょう.初項と公差,公比が分かっていますから,それぞれ一般項が立てられるはず.
この場合は初項も含んだ状態で答えられるので,
問題は(3)と(4)ですね.
漸化式を繰り返し用いて番号を下げることを考えます.
(3)は,見やすいように
↓
↓
↓
を計算すれば良いということになります.
(4)も同様に
↓
↓
↓
↓
を計算すればokです.
これで得られた式は
その際に
例題解答
(1)
初項が
(2)
初項が
(3)
である.
より,
よって,
(4)
漸化式を繰り返し用いると,
より,
よって,
まとめ
・「差の形」:
・「比の形」:
は漸化式を繰り返し用いて初項まで遡ることで一般項を求めることができる.
漸化式とは次の番号を生成する機構で初項の情報は含まない.
よって「