short summary!
一次型の二項間型の漸化式は「比の形」か「差の形」に帰着させる.
はじめに
本サイトでは以下のロードマップに従って漸化式を解説していきます.
「○次」:一般項(
「○項間」:一般項(
で分けていきます.今回は2つ目,一次の二項間漸化式について解説します.
もくじ
一次の二項間
上のロードマップで赤で示したところですね.
一次の二項間漸化式とは,
例)
いわゆる一次式のような形をしており,前回の記事で扱った「差の形」と「比の形」の複合ver.といったところでしょうか.
単刀直入に解き方をいうと,「差の形」と「比の形」のいずれかの形に帰着させるのです.
順に扱っていきます.
差の形にする
まずは「差の形」にして見ましょう.
実は,これは(後ほど扱う「比の形」よりは)簡単な式変形であることが多いです.
というのも,○に入るのは大体は以下の3通り
①定数
例)
②
例)
③
例)
がほとんどだからです.
まずは上に挙げた例についてどのように比の形にするか学んでいきましょう.
①
着目すべきは
を満たすような
係数
となります.
大体の様子は掴めたでしょうか?この調子で残り2つも差の形にしていきましょう.
②
着目すべきは
よって,
となります.
③
着目すべきは
差の形にするために
となります.
なお,差の形にする式変形は簡単ですが,出てくる階差数列をΣ計算する必要があります.
Σ計算のできない式だった場合,それは解けないか,計算間違いをしているということになります.
比の形にする
△を消すにはどのような式変形をすれば良いのか.
それは,
という式変形です.一次の不定方程式なんかと同じですね.
・
・
↓辺々引く(△が消える!)
しかし,どうやってこの
うまく見つけられるようにするには,いくつかのパターンを身につけ,慣れていく必要があります.
少し大変ですが,以下の練習に取り組んでみましょう.次の漸化式を比の形に直してください.
①
②
③
④
①
定数しか出てきませんから,とりあえず
となります.この方程式は特性方程式とも呼ばれますね.
これを与式と辺々引くことで
となります.
なお,これも単なる式の同値変形.
答案には
②
二次式が足されているので,
整理をして係数比較をすると
ですから
よって,
と同値変形できて,
なお,このように式が長くなる場合は
大体の様子は掴めましたか?この調子で残りも考えていきます.
③
よって,
と同値変形ができます.
④
一次式に指数関数がかけられている形をしていますから,
係数比較により
よって,
と同値変形ができます.
比の形にできてしまえば,一般項はすぐに求めることができます.
(上のように等比数列になる問題の出題頻度が最も高いと思います.)
使い分けの話
さて「差の形」または「比の形」に式変形をする話をしてきたわけですが,どちらを選ぶのが良いのでしょうか.
一度メリットデメリットを整理しておきます.
メリット | デメリット | |
差の形 | 式変形が簡単 | その後に行うΣ計算が大変なことがある |
比の形 |
これらのことを考慮して,便宜上以下のように使い分けをしていくことにしましょう.
- まずは差の形になるように両辺に何かをかけてみる
↓Σ計算がしづらいようなら
- 比の形になるように
を満たす を探してみる
とはいえ,
演習量をしっかり積むことで使い分けに慣れてくると思います.まずはそれぞれの章で扱った例を繰り返し演習して見てください.
まとめ
一次型の二項間漸化式
・差の形を目指す
→○が
・比の形を目指す
→△が消えるように