問題演習 問題演習B 微分・積分・極限

【難度B】演習9(理)〜横浜国立大学・2009年(後期)〜

2020年9月4日

解答解説

問題

$x>0$で定義された関数

\[f(x)=\Big(1+\frac{a}{x}\Big)\Big(1+\frac{1}{x}\Big)^x\]

を考える.ただし,$a$は定数である.次の問いに答えよ.

(1) $a=0$のとき,$f(x)$は増加関数であることを示せ.

(2) $\displaystyle a\geqq\frac{1}{2}$のとき,$f(x)$は減少関数であることを示せ.

微分をするだけと言ってしまえばそれまでなので,幾つか注意点を.

まず指数に変数が入っている状態は非常に扱いづらいので対数をとって微分をすること.

さらに,対数を取るのであれば必ず真数条件を確認しましょう.

 

微分をする時,欲しいのは導関数の符号変化です.符号がすでに分かっているところは適宜除いて計算を進めていきます.

変に$f'(x)=0$のところを追いかけすぎると(2)で失敗してしまいます.各係数$0$以上とわかればそれでおしまいでした.

解答

(1)

$a\geqq0,\,x>0$のとき両辺正であるので,自然対数をとると,

\begin{align*}
\log f(x)&=\log \frac{(x+a)}{x}\frac{(x+1)^x}{x^x}\\
&=\log{(x+a)}-\log x\\
&\quad\quad+x\log(x+1)-x\log x
\end{align*}

両辺を微分して,

\begin{align*}
\frac{f'(x)}{f(x)}&=\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x}+\log(x+1)\\
&\quad\quad+\frac{x}{x+1}-\log x-1\\
&=\log(x+1)-\log x+\frac{1}{x+a}\\
&\quad\quad-\frac{1}{x+1}-\frac{1}{x}
\end{align*}

\begin{align*}
g(x)=&\log(x+1)-\log x\\
&\quad\quad+\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+1}-\frac{1}{x}
\end{align*}

とおく.

$a=0$のとき,$\displaystyle g(x)=\log(x+1)-\log x-\frac{1}{x+1}$である.$x$で微分すると,

\begin{align*}
g'(x)&=\frac{1}{x+1}-\frac1x+\frac{1}{(x+1)^2}\\
&=-\frac{1}{x(x+1)^2}
\end{align*}

これは$x>0$で負であるので,$g(x)$は単調減少.また,

\[\lim_{x\to\infty}g(x)=0\]

であるため,$\displaystyle g(x)>0\Leftrightarrow\frac{f'(x)}{f(x)}>0$が成立する.$x>0$で$f(x)>0$なので,$f'(x)>0$

以上より,$f(x)$は増加関数であることが示せた.

(2)

$a\geqq\dfrac12$のとき,

分子について,$a\geqq\dfrac12$より各係数は$0$以上.よって,$x>0$で$g'(x)$は正であるので,$g(x)$は単調増加.また,

\[\lim_{x\to\infty}g(x)=0\]

であるため,$\displaystyle g(x)<0\Leftrightarrow\frac{f'(x)}{f(x)}<0$が成立する.$x>0$で$f(x)>0$なので,$f'(x)<0$

以上より,$f(x)$は減少関数であることが示せた.

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