short summary!
等差数列:$n$の一次関数
等比数列:$n$の指数関数
三項数列は真ん中の項に注目
はじめに
今回は数列の基本2つと三項数列(等差中項・等比中項)について学んでいきましょう.
のちに扱います漸化式でも,この2つを軸に考えていきます.
覚えることも少なく,そこまで複雑ではないので安心して進んでください.
もくじ
等差数列と等比数列
数列は文字通り「数の列」です.いくつかの数字が並んでいます.
並べ方は無限にありますが,その中でも特徴的なものには名前がついています.
等差数列は,「次の数との差=公差」が等しいものです.
前の数から次の数を作るためには公差を足します.
例)初項が$2$,公差が$3$
\[2,\,5,\,8,\,11,\,14,\cdots\]
等比数列は,「次の数との比=公比」が等しいものです.
前の数から次の数を作るためには公比をかけます.
例)初項が$2$,公比が$3$
\[2,\,6,\,18,\,54,\,162,\cdots\]
一般項
これらを一般化しましょう.数列{$a_n$}の一般項を$a_n$とします.(初項は$a_1$です)
公差$d$の等差数列 $a_n=(n-1)\cdot d+a_1$
→$n$の一次関数,公差が傾き
公比$r$の等比数列 $a_n=a_1\cdot r^{n-1}$
→$n$の指数関数,公比が底
$n=1$を代入するときちんと初項が出てくることを確認してください.
軽く計算練習をしましょう
例題
(1) 初項$1$,公差$4$の等差数列
(2) $a_3=14$,公差$3$の等差数列
(3) 初項$2$,公比$2$の等比数列
(4) $a_4=2$,公比$3$の等比数列
公式を覚えてしまうのももちろん構わないのですが,
「等差は一次関数,等比は指数関数」を分かっていれば早いです.
例えば(2)であれば,公差3が傾きなので
\[a_n=3n+○\]
の形までは予想できます.後は$n=3$を代入して$14$になるように○の部分を埋めて
\[a_n=3n+5\]
ですね.
例題解答
(1) $a_n=4n+○$かつ$a_1=1$なので,$a_n=4n-3$
(2) $a_n=3n+○$かつ$a_3=14$なので,$a_n=3n+5$
(3) $a_n=○\times 2^n$かつ$a_1=1$なので,$a_n=2^n$
(4) $a_n=○\times 3^n$かつ$a_4=2$なので,$a_n=2\cdot 3^{n-4}$
指数の計算が怪しい人は指数法則を復習しておきましょう.
和の計算
公差$d$の等差数列の$a_1〜a_n$までの和
\[\frac12\times(a_1+a_n)\cdot n\]
\[\frac12\times\text{\{(初項)+(末項)\}}\times\text{(項数)}\]
公比$r$の等比数列の$a_1〜a_n$までの和
\[\frac{a_1(1-r^n)}{1-r}\quad (r\neq1)\]
\[\frac{\text{(初項)}\times(1-\text{(公比)}^{\text{項数}})}{1-\text{(公比)}}\quad (r\neq1)\]
和の計算は公式を覚えるだけなのですが,その際に注意点が1つ.
絶対に数式で覚えないでください.
一応書きはしましたが,大事なのはその下,日本語で書いた方です.
和の公式は日本語で理解しておかないと使い物になりません.
等差数列において必要なのは
「初項」「末項」「項数」←公差不要
等比数列において必要なのは
「初項」「公比」「項数」
です.
例題
(1) 等差数列{$a_n$}において,$a_5=3$から$a_{100}=197$までの和
(2) $a_1=2$,公比が$3$の等比数列{$a_n$}において,$a_3$から$a_{50}$までの和
それぞれの数列においてどの要素が必要か考えて計算しましょう.
例題解答
(1) (和を計算する上で)初項$a_5=3$,末項$a_{100}=197$,項数$96$なので
\[\frac12(3+197)\cdot 96=9600\]
(2) (和を計算する上で)初項$a_3=18$,公比$3$,項数$48$なので
\[\frac{18(1-3^{48})}{1-3}=9(3^{48}-1)\]
三項数列
本記事の最後,三項数列についてです.
「〜において,a, b, cが等差(等比)数列で」という条件が与えられることがあります.
こうした問題は
真ん中の項(中項)に注目する
と覚えておいてください.
これは市販の教科書のいずれにも載っている事実だと思いますが,何故なのでしょうか.少し掘り進めておきます.
実は等差でも等比でも,三項数列においては”順番”は不要な情報なのです.
\[a,\,a+d,\,a+2d\]
は初項$a$公差$d$の等差数列ですが,逆から読んでも
\[a+2d,\,a+d,\,a\]
と,初項$a+2d$公差$-d$の等差数列になります.
等比数列でも同じです.
順番が不要な情報なら何が大事かというと,「真ん中の項」なのですね.
$a,\,b,\,c$がこの順で数列を成しているとき
- 等差数列のとき:公差$d$として$a=b-d,\,c=b+d$
→$2b=a+c$ - 等比数列のとき:(公比$r$として$a=\frac{b}{r},\,c=br$)
→$b^2=ac$
を覚えておいてください.
(赤字の式は,公差$d$や公比$r$を文字消去した式になっています.)
まとめ
公差$d$の等差数列→$n$の一次関数,公差が傾き
和の計算は
\[\frac12\times\text{\{(初項)+(末項)\}}\times\text{(項数)}\]
公比$r$の等比数列→$n$の指数関数,公比が底
和の計算は(公比が$1$ではないとき)
\[\frac{\text{(初項)}\times(1-\text{(公比)}^{\text{項数}})}{1-\text{(公比)}}\]
三項数列は真ん中の項(中項)中心に考える!
$a,\,b,\,c$がこの順で数列を成しているとき
- 等差数列のとき→$2b=a+c$
- 等比数列のとき→$b^2=ac$